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掘り出し物って夢がある?

生みっぱなし作りっぱなしで眠っていた江本純子の作品たちを、掘り出して取り揃える商店。



【 取り扱い商品 】

中心になる商品は、
『毛皮族』(2000~2013年)
『軽演劇シリーズ』(2006年~2012年)
『財団、江本純子』(2009年~2018年)
の上演台本。

公開できるものはすべて、すべて公開いたします。

他には、公演DVDや、貴重な公演ポスター、著書やCDなど。


【送料について】

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上演台本は、何冊購入しても一律430円です。
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*** 江本純子より ***

かつてわたしは、インテリア関係の仕事に転職を考えたくらいインテリアにハマリ、インテリアのおもしろい部分をねこそぎ食い尽くすように楽しんだ今は、インテリアを自分で作っていくDIYにハマり、いまではDIYの資格をとろうかと考えているくらいです。でも残念ながら今年のDIY資格試験の日は既に演劇のスケジュールが入っていて、参加できないことがわかり、落ち込んでいます。
それはさておき、インテリアにハマった名残りは現在のわたし自身のもろもろの生き方に反映されており、今回過去の自作を表に出す理由に大きく影響しています。それはアンティークやビンテージ品の魅力を愛するようになったことです。家具でいうと、アンティークは100年以上の前のものを指し、ビンテージはだいたい数十年前〜100年以内のものを指します。いずれにしろ、「昔」のものが、生き残って「今」存在しているものには、そのものが生きてきた時間の積み重ねが深い味わいとして現れています。わたしはそれらのものに遭遇したときに、とりつかれたように「好き」と思います。例えば、家具ともちょっと違うのですが、数十年来雨風にさらされ続けたボロボロのトタンなんかは、頭がぐしゃぐしゃになるくらい好きなのです。しかし、人によってはボロボロのトタンがただのガラクタでしかないこともわかっています。
それもさておき。過去のわたしの作品を表に出そうと思ったのも、そんなふうに古いものへの愛おしさを感じるようになったからだと思います。最も古い作品は17年前に書いたもので、アンティークにもビンテージになるにはまだまだヒヨッコだし、雨風にさらされ続けたどころから、ずっと押入れの奥に、というかめったにつなげないハードディスクや、もうつなげることすら難しいMOディスクにいれっぱなしで、埃すらもかぶらない状態でしまわれて続けていたものです。正直、恥ずかしい作品ばかり。作品としてもガラクタみたいなものも多く、数百年前のヨーロッパで生まれた文芸作品のような格調高い作品など一切ございません。
しかし、恥ずかしくてカッコの悪い過去作ですが、かつてのその時々に存在していた「演劇」に対する緊張の中で常に書いていたわけで、そのときにわたしが演劇と向かいあっていた戦いの時間も一緒に刻まれているのは確かに感じるのです。それはつまりそのときの、その時代の、わたしが過ごした演劇のその時代の、ビンテージが宿っています。もう一度言いますが、手にする人によってはただのガラクタでしかないこともわかっています。
これらからも新作は作り続けますので、この場所がなくとも、これからの作品で観客の皆さんと出会える機会はあります。でも、この場所があることで、過去の作品とその時の時間に出会えたり、あるいは再会する機会にもなるはずです。そんなファンタジーを楽しめる作品発表だと、わたしは考えています。(2017年2月 江本純子)


*** 江本純子 profile ***

1978年千葉県生まれ。脚本家・演出家・俳優。
2000年、21歳の時に劇団「毛皮族」を旗揚げ。2000年代、毛皮族は祝祭的な演劇作品の数々を上演し、演劇界で一躍した存在となった。2009年からは「財団、江本純子」の製作名義でも新作の上演を行っている。2006年、処女小説『股間』を発表。09年『セクシードライバー』、10年『小さな恋のエロジー』が岸田國士戯曲賞最終候補作となる。08年~13年、セゾン・ジュニアフェローとしてセゾン文化財団からの助成を受ける。2016年より、俳優の佐久間麻由と新たなプロジェクト「できごと」を開始。システムが整った劇場ではない「場所」にて、俳優と作品それ自体の野生状態を重視した演劇創作を行っている。2016年、原作、脚本、監督した長編映画『過激派オペラ』が公開された。